コンクリートブロック造について その3

IGU

2008年04月26日 22:23


2006年9月に本部町に引っ越した。
今度の部屋は、海のすぐそば。ずっと田舎ぐらしをしたかった僕にとって、環境は最高だ。

ドアを開けると瀬底大橋が見え、時々船の汽笛が聞こえる。夜になると満点の星。休みの日に昼寝していると、ウグイスの声が間近に聞こえる。ひたすらのどかな、やんばるライフだ。

でも、しばらくすると、僕のアパートの周りで民家の取り壊しが始まった。
どうやら、道路ができるので、立ち退きになったらしい。
気がつくと、周りの家がどんどん無くなっていく…。ちょっと~。

僕のアパートは、大丈夫だったけど、今度は周りで建築ラッシュが始まった。
立ち退きの方々が、家を建て替え始めたんだ。
地面を掘削する音とかで、かなり騒々しい。


そんなある日、ちょっとした事件が起こった。
なんと、僕の部屋の窓の、すぐ目の前で、2軒の住宅の新築工事が始まったんだ。
両方ともコンクリートブロック建築だ。

おかげで僕は、基礎を掘る所から、ブロック積み、屋根を作るためのコンクリート型枠の作り方まで、家一軒が建つ全ての工程を知ることができた。もちろん各種の記録も取ってある。

これはお金では買えないノウハウだ。









さらに、僕のアパートから20mくらいの場所で、なにか作業しているので行ってみると、オジイが一人でブロックの家を建てていた。
さっそく話をしてみると、オジイはもと大工で、家を建て替えているのだという。

「去年は妹の家を建てた。ほら、あの家。それと、あっちの墓も自分で作った!」
さらに、語る。
「昔の人は、一人で何でもできる。今は分業が進んで、自分の仕事だけしてればいいけど、俺たちは基礎をスコップやツルハシで掘って、型枠組んで、家造りの全てをやったんだよ。今は大変な事は機械がやってくれるから、楽さーねー」

思わず言ってしまった。
「すげーっ。カッコイイっす。何か手伝うことできませんか? 」
「あん? 一人でできる! まかちょーけー!!」

そのオジイの所へは、何度も遊びに行って、いろいろ話を聞くことができた。

曰く、
 今の家はかっこよさを求めて、天井裏が低いけど、あれはダメだ。高くしないと夏が暑いよ。
 ブロックは中が空洞だから、熱が伝わりにくい。コンクリート流し込みは一番良くない。夏は暑いし冬は寒い。ブロックが一番! だから、中の空洞をコンクリートで埋めてはいけないよ。
 西日の対策はしっかりやりなさい。沖縄は西日が一番大変だよ。

オジイにはいろいろな事を学んだ。
自分で家を建てたいと言うと、うん、できる。やったらいいさー。道具は貸してあげるよ。と言ってくれた。

そして、一番繰り返し言っていたのが、家造りが台風シーズンにかからないようにしなさいと言うこと。ブロック建築は完成したら強いけど、壁だけの状態で大風に吹かれると、鉄筋が無いと倒れるよ。下敷きになったら大変さー。


ずっとブロック建築の事を考えていたから、いろいろ引き寄せてしまったみたい。
やばいなぁ。こんな所で好運を使っちゃったら、宝くじが当たらないじゃないかぁ!

でも、本部町に来て良かった。これは運命ってやつかもしれないね。

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